2021/03/26 22:59
去年(2020年)初めて絵画の公募展に応募した。「国際水彩画NET展」を皮切りに、「日本・フランス現代美術世界展」「パリ国際サロン」、あるいは「公募 日本の絵画2020」などなど。幸いいずれにも入選が叶ったが、あれよあれよという間の出来事だった気がする。
もう少し早く、せめて10年も前に挑んでいれば、これほど辛い思いはしなくて済んだかもしれない。精神的にも、体力的にも。でもね、当時は絵画展への応募なんか思いも寄らなかったのですよ。一体、デザインの仕事に毎日追われていたし。そもそも、僕はこの国の公募展なるものを最初から見限っていたふしがある。父が絵描きの端くれだったこともあって、主立った公募展の内幕を仄聞していたから。しかし、それが国際的な公募展ならどうか。審査員が日本人だけでなければ、あるいは僕のような学歴や経歴を持たない者でも公平に審査してもらえるのではないか。そんな気持ちが僕を慌ただしく応募に駆り立てたのだった。作曲のほうは、10年前にコンクールに出してみてなんとか入選が叶っている。あるいはさほど案じるに足らずではないか。
デザインの仕事から身を引いて、あらためて絵のほうの不義理に思い至ったということもある。これまで個展は幾度となく催し、様々な方に買っていただいているけれど、思い返せば僕の絵の価値なんていつまでたっても無いに等しいわけで、そのことの申し訳なさに突然思い至ったのだ。今更ながら。兎にも角にも、絵を手放したい時には、いつでもご損なく手放せるほどの価値を今のうちになんとか積み上げておかなくちゃ。それが僕の応募のモチベーションになっていると言っていい。
もう暫くは、絵筆を握れる気がする。絵の善し悪し(そんなものがあるとして)はさておき、もう歳も歳。楽しんで、面白がって描いていこうと思う。