2016/01/16 18:03
まだ新しい方途は見えてこないけど、試作を2点ばかり。なにかこう、突き抜けたいのだけれど、従来のスタイルがどうしても邪魔をする。タイトルやなんか、つい大きくなってしまう。小さくたって人の目を惹くことは可能。それより、エスプリとヒューマニティ。これが目下のキーワードなのだが、思わせぶりな雰囲気にまでは至らない。
例えば上のサンプルの場合、必ずと言っていいほど、縦組の英文のタイトルが読み辛いという意見が編集側から出るに違いない。「もう少しハッキリ読めるようにできませんか」ってね。しかし、このサンプル場合、これこそがデザインの要というか味噌であり、まさに〝可能性としての〟云々を暗喩するものなのだ。雰囲気を作り出しているものなのだ。それにこれをハッキリさせると、和文のタイトルとのバランスを欠いて、こちらも文字を大きくするなりなんなりの手を打たねばならなくなる。デザインというのは、とてもデリケートなバランスの上に成り立っている。でも、僕も随分大人になった。第一こちらも忙しいので、いちいち反論はしない。それをしていると、必ず諍いになるだろうし、埒が開かなくなる。仕事に支障を来す。悪循環に陥る。
出版物のデザインを一見すれば、社員の精神年齢やセンスがたちどころに判る。なので、僕の目から見て、水準に達さないところにはDMなんかはなから出さない。仮に一緒に仕事をしても、良いものは決して作れない。なにもかも違うから、お互いに満足するはずもないし。
難しいな。皆さんも面白がって一緒になって考えてくださると幸い。こういうことも、この国の将来の存立にかかわる結構重要な問題なのですから。
(これも、過去に担当させていただいた書籍のタイトルをお借りしています。関係各位には平にご容赦いただきたく存じます)