2015/07/31 21:21
コーヒー店で仕事をしている人をよく見かける。ちゃんとYシャツを着た人が、小さなノートパソコンを開いて忙しなさそうになにかやっているのだから、きっとあれは仕事に違いない。
僕は携帯電話も持っていないし、Macの中でも一番大きな画面のパソコンで作業をしているので、さすがにちょっと仕事は無理。でも、最近はメールでのやりとりがほとんどだし、事故が起きた時のために備えている小さなノートパソコンで支障がなければ(実はこちらのほうがバージョンが新しい)、コーヒー店を仕事場にすることも案外可能なのかもしれない。なんだか凄い時代になったものだ。カラス口(からすぐち/いまの若い人たちは見たこともないだろう)だのロットリングだのでケント紙に線を引いていた時代からすると、隔世の感。
ただ、僕なんかは、店でパソコンを使うのはなんとなく恥ずかしい。たとえばほら、昔、まだそれほど携帯電話が普及してなかった頃は、よく電車の中で声高にしゃべっている人を見かけたものだ。あれって迷惑なだけじゃなく、見ているほうがなんだかちょっと恥ずかしくなった。でも、きっと本人は案外得意満面だったのかもしれない。たとえば、駅のホームで、こうもり傘をゴルフのパターに見立てて振り回す人もよく見かけた。でも、ゴルフなんか誰でもできる時代になったら、ほとんど見かけない。あれも見ているほうがちょっと恥ずかしくなったものだ。
コーヒー店のノートパソコンもそれに似たようなところがないだろうか。それに、ああいう人たちって、決まって糊の利いたシャツに、不思議にベルトと股の間が短いタイトなズボン、ちょっと先がとんがっているような靴、という出で立ちで、総じて髪が短い。これ、偏見かもしれないけど、僕にはそんな風にお揃いに見える。でもまあ、営業の仕事の人たちは、いちいち会社になんか戻っていたら、きっと間が詰まないのだろう。あちこちのコーヒー店を根城にするのは、案外いい塩梅なのかしれないね。
僕も時々、店があまり混んでいなかったり、端っこの目立たないところに席が見つかったりした時なんかは、小さなクロッキーブックを取り出して、絵やデザインのサムネールを考えたり、描いたりすることがある。でも、これが案外面白い、というか良い案が浮かんでくる時があるから不思議だ。さすがに五線紙のノートは広げられないけど。小さいノートも持ってはいるが。なんだかやっぱり恥ずかしいな、五線紙は。なぜかな。寸時にメロディーを書き留めたい時もあるにはあるのだけど。